公共交通がある程度発達したエリアの需要が高いカーシェアリング

カーシェアリングはその性質上、自家用車が普及しているエリアではそこまで高い需要がありません。

例えば人口のうち9割がマイカーを保有しているところにカーシェアリングのサービスを提供したところで、全人口の1割しか見込み顧客がいないことになります。

見込み顧客が1割でもその全てが契約するわけではありませんから、マイカーが当然の地域ではそこまで需要が見込めないのは当然なのです。

ではどういった場所だとカーシェアリング需要が高いのかというと、一番良い条件なのはマイカーを持ちづらく、公共交通機関が整っているところなのです。

どうして公共交通機関が必要になるのか

しかしマイカーを持ちづらいというのが一番良い条件であることはイメージしやすいでしょうが、公共交通機関が整っていることがどうして必要なのか分からないと言う人は多いでしょう。

これについてはカーシェアリングの性質である「ステーションが無いと利用できない」という点が関係しています。

ステーションというのは貸し出し用の車を駐車している駐車場のことなのですが、利用の際にはこのステーションから車を借りて、利用が終わった時にはステーションに駐車することになります。しかしこのステーションはエリアによって設置のしやすい、しづらいがかなり激しく分かれてしまいます。

例えばもともと有料駐車場が多くある都市部であればその駐車場を月単位で借りてステーションにできますが、そうした駐車場が無い住宅街だとステーション設置にかなり難儀するでしょう。

もし設置するとすればわずかな月ぎめ駐車場を見つけて契約するか、事業者が土地を買い上げるしかありません。そのためステーションが集中する都市部へのアクセスがしやすいというのは極めて重要なポイントになるのです。

旅行目当ての顧客を取り込むのにも公共交通機関は必要

またもう一つの理由としてあるのが「旅行を前提とした顧客を取り込むため」です。
ここで言う旅行とは特に車でのアクセスが難しい長距離や飛行機での移動のことです。

こうした移動の際には基本的に公共交通機関で目的の旅行先へ移動して、そこからカーシェアリングを利用するというのが理想的な流れになります。

移動手段が整っていない場所だと最初からレンタカーで移動するという選択肢との競争で不利になりますから、やはり重要なことなのです。

環境を考えてもやはり重要

これはカーシェアリングという事業の収益性というよりは環境貢献の話ですが、公共交通機関があるとパークアンドライドが実現しやすくなるというのもポイントになってきます。

パークアンドライドとは電車やバスと自動車の連携による移動の効率化のことであり、何らかの交通手段があればこのパークアンドライドが実現しやすくなります。

これは排ガスの削減や渋滞によるエネルギーロスの改善などに効果があるため、今後のエコ社会ではより重要なポイントになってくるでしょう。